2009年01月10日

成因

うつ病の成因論には、生物学的仮説と心理的
仮説があるとされている。


心理的仮説は生理的な理由付けがないため、
科学的根拠に欠けるとの批判が存在するが、
生物学的仮説は脳と精神の関係がほとんど解
明されていないこともあり、治療という面で
も初期の段階にあるとされている。


ただし、精神分裂病などに幾分か有効な薬が
開発されているが、現在はうつ病の症状を抑
える程度の薬しか存在しない。


いずれの成因論もすべてうつ病の成因を統一
的に明らかにするものでなく、学問的には、
尚明確な結論は得られていない。


治療場面では、なぜうつ病になったかという
問いよりも、今できることは何かを問うべき
であると言われている。


この意味で、成因論は学問的関心事ではある
が、現時点では臨床場面での有用性は限定的
であるとされている。


 ●生物学的仮説は、薬物の有効性から考え
  だされたモノアミン仮説、MRIなどの画
  像診断所見に基づく仮説などがあり、現
  在も活発に研究が行われている。


  モノミアン仮説のうち、近年はSSRIと
  呼ばれるセロトニンの代謝に関した薬物
  の売上増加に伴い、セレトニン仮説がよ
  く語られる。


  また近年、海馬の神経損傷も話題となっ
  ている。


  ただ、臨床的治療場面を大きく変えるほ
  どの影響力のある生物的な基礎研究はな
  く、決定的な結論は得られていない。


 ●一方、心理学的・精神病理学的仮説とし
  ては、テレンバッハのメランコリー親和
  型性格の仮説が有名である。


  これは、几帳面・生真面目・小心な性格
  を示すメランコリー親和型性格を持つ人
  が、職場での昇進などをきっかけに、責
  任範囲が広がると、すべてをきっちりや
  ろうと無理を重ね、うつ病が発症すると
  いう仮説である。


  つまり、鬱の原因は人生問題であるとい
  うものである。


  生活での悩みが鬱の原因になるという主
  張はことに反論を唱えるものはいないが
  決してすべてのうつ病がこの仮説に一致
  する訳ではない。


  例えば家族の一員の死などで鬱になる場
  合いでも個人差があり回復に数年という
  ケースも存在する。


  またまれに理由もなく深刻な鬱である場
  合いもある。


  ただしこのような心理的仮説は鬱を生物
  学的に捕らえ治療を行うという考え方に
  対する疑問として掲示される仮説である。


 ●また、認知療法の立場からは、人生の経
  験の中で否定的思考パターンが固定化し
  たことがうつ病と関連しているとされて
  いる。


■生物学的仮説:脳の海馬領域における神経損傷仮説


 ●うつ病の神経損傷仮説:近年MRIなどの
  画像診断の進歩に伴い、うつ病において、
  脳の海馬領域での神経損傷があるのではな
  いかという仮説が唱えられている。


  そして、このような海馬の神経損傷には、
  遺伝子レベルでの基礎が存在するるとも言
  われている。


 ●心的外傷体験が海馬神経損傷の原因となると
  いう仮説:また、海馬の神経損傷は幼少期の
  心的外傷体験を持つ症状に認められるとの研
  究結果から、神経損傷が幼少期の体験によっ
  てもたらされ、それがうつ病発病の基礎とな
  っているとの仮説もある。


■心理学的仮説:病前性格論


心理学的成因仮説の代表は、病前性格論であ
る。


うつ病にかかりやすい病前性格として、主に、
メランコリー親和型性格、執着性格、循環性
格、が日本では提唱されている(米英圏では
強迫性)。


しかし、近年はうつ病概念の拡大や社会状況
の変化の伴い、下記の性格に該当しないうつ
病患者が増加している。


 ●メランコリー親和型性格はドイツの精神
  科医テレンバッハ(H.Tellenbach)が提
  唱したもので、秩序を愛する、几帳面、
  律儀、生真面目、融通が利かないなどの
  特徴を持つ。


  主として反復性のないうつ病を呈すると
  される。


 ●執着性格は下田光造が提唱したもので、
  仕事熱心、几帳面、責任感が強いなど
  を特徴を持つ。反復性うつ病ないし躁
  うつ病の病前性格の1つであるとされ
  る。


 ●循環性格はエルンスト・クレッチマー
  (E.Kretschmer)が提唱したもので、社交
  的で親切、温厚だが、その反面優柔不断
  である為、決断力が弱く、板挟み状態に
  なりやすいという特徴を持つ。躁うつ病
  の病前性格の1つであるとされる。
posted by ワニ at 22:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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